うどん屋(うどんや) 別名「風うどん」

流しのうどん屋が酔っぱらいにからまれた。酔っぱらいは長唄の文句であげ足をとったあと「おまえ仕立て屋の太兵衛を知っているか、つきあいのいい人で…」と同じことを何度も繰り返して話し、あげくのはてに水だけ飲んで帰ろうとするので、頼んでうどんを食べてもらう。酔っぱらいは唐辛子を全部かけてしまいからくて食べられないので、怒って銭も払わずに行ってしまう。うどん屋はぼやきながら行きかけたところを呼びかけられたので立ち止まると「子供が寝たばかりだから静かにしてくれ」といわれる。表通りへ出ると大店の若い衆がかすれた小声で呼ぶので、今度こそ大勢出てきて総仕舞にしてくれるだろうとうどん屋も調子を合わせて小声になって「おいくつ」「ひとつ」がっかりしながらつくって「お待ちどうさま」うまそうに熱いのをすすった若い衆はまた小声で「うどん屋さん」さては追加注文かと眼をかがやかせながら小声で「へえ」「お前さんもお風邪をおひきかえ」

解説
三代目柳家小さんが大阪から東京へ移したはなし。現小さんも得意にしている。原話は安永二年江戸板「近目貫」に載っている「小ごゑ」。

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