五光(ごこう)

ある旅商人が、道に迷って日暮れになり、辻堂で祈っている坊主に会った。無言の行とみえて、返事がないのでさらに進み、谷間の一軒家へたどりつく。気狂いの娘がいるからと断られるのをむりに泊めてもらう。夜中に娘が起き上がって、いやらしい声を出して狂いまわる。そのそばに日暮れにあった坊主がすわっていた。夜が明けるのを待って飛び出し、辻堂まで来ると坊主が鉦をたたいていたので「出家の身でなぜ娘に執着する。娘は死んでしまった」というと、とたんに坊主は白骨となってしまった。おそろしくなって行きかけると、にわかの大雨。あわてて辻堂へ引き返すと、中はりっぱで厨子の蒔絵が桜の帳幕、右の欄間が松に日の出、左が桐に鳳凰。旅人が合掌すると、後光がさし込んだ。桜に松に桐、それに坊主があって大雨では五光(後光)は当たり前。

解説
花札で、松、桜、坊主(すすき)、雨(柳)、桐の二十点札五枚を合わせとったのを五光という。上方ばなしで「いが栗」に途中まで同じ。

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