あくび指南(あくびしなん) 別名「あくびの稽古」

あくび指南所ができた。入門したいのだが一人で行くのははずかしい。友達にそばにいるだけでいいからと頼んでついて来てもらった男。さっそく四季のあくびのけいこ。舟であまり長いこと遊んでいたために退屈して出るというあくびで「おい船頭さん、舟ェうわ手へやってくんねえ、舟もいいが一日乗ってると退屈で退屈で……(とあくびをして)ああ、ならねえ。」これを教わった通りやるのだが、ぎこちなくてなかなか覚えられず、師匠が何度もやって見せていると、待っていた友達が「くだらねえものを稽古してやがる。いい年してひとつのことを何度もやって…。待ってる俺の身になってみろ、退屈で退屈で、ああ、ならねえや」と自然にあくびが出る。師匠は「へえ、あのかたは器用だ。見てて覚えた」

解説
マクラに「喧嘩指南」「釣指南」などの小ばなしを振る。大阪では秋のあくびとして、風呂の中で月を見ながらの長湯についあくびが出るのや、縁台将棋で相手が待ったをしての長考に思わず出るあくびを師匠がやって見せる型がある。故小円朝の十八番だった。

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